*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

■「報告:世界で一番新しい国での草の根支援中嶋さん顔2014-01-01 01.54.30.jpg
     ~南スーダンでの人材育成の試み~」

      在南スーダン代表 中嶋秀昭 

■日時 2014年1月29日(水) 午後7時00分〜午後8時30分
■場所 JICA地球ひろば 2Fセミナールーム

*パネルディスカッションならびに皆様からのご質問への回答は、以下のページをご覧下さい。

■■南スーダンでの事業について

JCCPでは、子どもと若者に焦点を当て、その保護を目指しています。
職業訓練事業では、これまでに8グループ、300名ほどに訓練を実施してきました。JICA事業では3グループに対して職業訓練をおこなっています。

・南スーダン概要

・世界で一番新しい国(2011年に独立しました)
・人口:正確な統計はありませんが1000万人以上とされています。
・民族:ディンカ族、ヌエル族など、多岐にわたり、数十の民族がおります。
・宗教:キリスト教、伝統宗教

・南スーダンの開発状況

・一人当たりの年間所得:984ドル(2011年)(日本は4万ドル以上)・・・途上国としては極端に低い値ではないかもしれませんが、これは主として原油収入が反映されているためで、国民の半数程度が貧困層(1日に1.25ドル未満で暮らす人々)となっています。
・識字率:27%(女性16%、男性40%)・・・小学校には入るもののドロップアウトする確率が高いです。「女子には勉強は不要」という考え方があり、これも影響していると考えられます。
・トイレを使用できる人の割合:20%
・乳児死亡率、5歳未満死亡率、いずれも高い。
・ワクチン接種率:17%

・若者の状況

・内戦などが原因で十分な教育が得られなかった人が多いです。
・隣国(ケニア、ウガンダ、エチオピア)に比べて、教育水準が低く、働いて生活の糧を得る力(生活力)が弱い。
・また、隣国の人々が南スーダンに流入し、現地の人はなかなか職を得られない状況にあります。
・15歳以上30歳未満の若者の人口割合が約3割となっており、人口構成はピラミッド型で、日本とは逆です。

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■■JCCPの南スーダンでの主な活動

・子どもと若者に焦点をあてて活動しています。
・活動① ストリートチルドレンや孤児への保健衛生教育
・活動② 政府・NGOの連携活動基盤強化支援
・活動③ 職業訓練、就業支援

職業訓練事業について

・対象とする若者は、安定した収入を得られない者、学校をドロップアウトした者、シングルマザーなど、社会的・経済的に困難な状況にある者を中心としています。
・需要が見込まれるサービス業への従事を目指した職業訓練および就職斡旋をおこなっています。
・訓練は調理や給仕サービスについて、実習と座学でおこないます。
・職業訓練が修了すると訓練生はOJT(実地訓練)に入ります。OJTにあたっては、JCCPはスターターキットの1つとして制服を提供します。
・元ストリートチルドレンであったアブラハム君が訓練を修了し、今は就職し自分の人生を歩んでいるという例です。

▶▶参考「JCCPニュースレター Vol.9 Iss.02」(5ページ目)

職業訓練の流れ

1) 訓練生の選考
・コミュニティのチーフ等の協力を得て、学校を中退した、就業経験がない、世帯収入がない、シングルマザーであるなどの条件の若者を推薦してもらい、面接を経て選定します。その際、民族・性別の偏りがないようにバランスよく候補者を選定するよう配慮します。
・衛生管理も重要な業種のため、健康診断も実施します。

2) 訓練
・訓練は1グループ約40名の訓練生で実施されます。まずサービス業とは何か、働くとは何か、などの職業倫理を、講義や寸劇などを通して学びます。
・そしてサービスの方法など技術面を講義や実習を通して学びます。
・調理実習では調味料の配合、調理方法などを実践します。初めて目にする料理(パスタ・ピザ等)と調理器具を前にして、皆、学ぶことに真剣です。
・訓練は月曜から金曜まで毎日行われます。また訓練期間中は、訓練に集中し、最後まで続けられるよう訓練生には交通費と昼食を提供しています。

3) OJT(実地訓練)
・実地訓練では、訓練とは異なる「実際」の部分を学びます。訓練生は就業経験をもたない者が主なので、職場の現実を体験することがとても重要なのです。
・実地訓練中もJCCPのスタッフが定期的に様子を見にいき、相談に乗るなど、フォローアップを行っています。

4) 就職活動
・就職活動では、訓練修了生に就職先の紹介をしたり、また履歴書の書き方などを指導するなど、きめ細かい就業支援を行います。修了生は就職後も、初めての職場でとまどう事も多く、JCCP職員が適宜相談に乗ります。このフォローが高い就職率(定着率)を生んでいるのです。

JCCPが職業訓練事業で重視していること

・職業倫理を重視し、働いてお金をもらうとはどういうことなのかを学ぶこと。
・寸劇などを通して良い例と悪い例を紹介し、客への接し方を学びながら、時には我慢することも必要なことを学ぶこと。
・過去の訓練生(修了生)による経験(どう働いているか、必要な心構え、どのようにステップアップしていくのか)の共有。

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■■人材育成(エンパワーメント)の意義

・無職の若者が犯罪に手を染めることを防ぎます。
・職を得て定期収入を得ることに結びつけることで、やりがいを持つ。そして職を得たことをステップにして、学業であれ、他の職業であれ、自分のこれからの人生を開拓していくきっかけとなります。
・そしてその若者たちが南スーダンの社会を作っていきます。
・現状では大半の経営・雇用が外国人によって占められていますが、南スーダン人自身がオーナーシップを持ち、自国の発展に貢献できます。

■■なぜ遠い南スーダンにこのような支援が必要なのか?

・人間の安全保障:尊厳や生存がおびやかされている状況が人々が豊かな選択肢をもって自身の人生を開拓していく機会を奪い、ひいては社会が不安定になります。こうしたことが負の連鎖となるため、これを断ち切る必要性があるのです。
・情勢の悪化は、南スーダンの経済にも影響します。
・情勢の安定は国際社会にとっても望ましいものです。
・また日本にとって南スーダンは、原油の供給国としても重要な国です。

職業訓練は、紛争後国に暮らす若者の生存・生活・尊厳を守り、彼らがもつ可能性を実現するための能力強化を行う活動です。
JCCPは人間の安全保障が特に強く求められる紛争中もしくは紛争が再発する可能性のある地域、紛争後の社会を対象に活動しています。

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