*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

■「報告:世界で一番新しい国での草の根支援~南スーダンでの人材育成の試み~」
  &「今後の南スーダン支援の方向性を考えるパネルディスカッション」 

  《《 当日お寄せいただいた質問への回答 》》 

■日時 2014年1月29日(水) 午後7時00分〜午後8時30分
■場所 JICA地球ひろば 2Fセミナールーム

*報告会ならびにパネルディスカッションについては、以下のページをご覧下さい。

Q1. 現地化のポイントが一番気になりました。JCCPの支援を受けている若者とそうでない人たち(対象外)の就職状況は、数的、質的に異なりますか。
南スーダン全体としての最近の統計はありませんが、2008年のデータ(外部ページ)LinkIconによると若者の就業率は52.6%、失業率は12%、就業意欲のない若者が35.4%となっています。南スーダンでは残念ながら安定した雇用を提供する企業の大半が外国資本に占められており、十分な教育・しつけの機会をもてず、就業経験もない多くの若者にとって雇用機会を得るのは困難です。零細業者に勤務したり補助的肉体労働に従事したりすることも可能ですが、雇用は不安定で、このような分野にさえも多くの近隣諸国の人々が進出しています。ですので、技術と職業倫理を学び、就職斡旋・支援を行う職業訓練は重要です。JCCPの訓練修了生の就職率は訓練の回ごとに異なりますが、当初50%程度だったのが上昇し、76%にまでなっています。一方で他団体が実施する同種の訓練を受けた若者の就職率は27~49%です。とはいえ、これまでにJCCPの支援を受けた若者は約300人で、ジュバの若者全体数から見れば、ごく少数にすぎません。
Q2.そもそもなぜ給仕や調理補助の職業訓練なのでしょうか。どのくらいのニーズがあると見込んでいたのでしょうか。これらのテーマはやりやすいと思いますが、人材育成、就業を目指すなら、もっと職に直結するスキルを教えた方が良いのではと思います。
自動車のメカニックや電気技師といった技術職の訓練は長期(2年以上)の訓練期間が必要となります。一方で失業状態にある若者の多くが望むのは、短期間の訓練で現金収入を得る手段が見つかる職種です。ジュバのサービス産業は近隣諸国からの外国人労働者が多数を占めており、南スーダン政府は経営者に対して雇用の現地化を要請しています。一方で、経営者側は客とのトラブルを避けるために、訓練を受けたことも就業経験もない現地の若者を雇用したがらない現実があります。JCCPの職業訓練は、裨益者となる若者の要望、就職先となるサービス産業の需要、そして現地政府の方針を汲んだものとなっています。サービス業に関する職業技能も重要であり、今後、南スーダンで同産業が発達すれば、現在就業している若者達は大きな礎になります。
Q3.南スーダンでされる職業訓練をマザレでもやってはどうですか。今後の活動展開の予定は?
ご提案ありがとうございます。マザレをふくむナイロビ市内では、職業訓練を提供している団体が多数存在しています。そうした団体と連携しながら、女性や若者が職業訓練の機会を得られるようサポートしていくことは不可能ではないと考えています。
Q4.地方と首都の格差というお話はありましたが、ジュバにおけるサービス産業労働者の需要はどれくらいあるのでしょうか。
質問2への回答をご参照ください。なお、国連(UNIDO)はサービス産業(ホテル・レストラン)を職業訓練対象分野として重視しており、2012年に行われた調査によると、同産業は雇用吸収先として重要な産業とされています。
Q5.①JCCPの南スーダンでの活動はよく理解出来ましたが、これらの活動と南スーダン政府との連携状況について教えて下さい。南スーダンが今後将来に向けてどのような国づくりを目指し、国民と合意形成し、ロードマップを準備し、マイルストンを設けるのか。そのビジョンの一つのステップが貴組織の活動の延長上にあった方が、より実現の速度も上がるし、ビジョンの共有は国民の支えにもなると感じています(日本が福沢諭吉で教育を進め、工業国として生き方を決めたので、明治期から短期で世界の仲間入りが出来たように)。 ②南スーダンの活動ですが、何をもって成功またはゴールとされていますか。活動の”終わり方”というのが難しいと思います。基準があれば教えて下さい。③学校設置のプロジェクトは他団体で進められているのでしょうか。
①労働省に職業訓練部局が設置され、2013年に同省や国連・NGOなどが連携して職業訓練についての情報を共有し、関連政策・戦略などを策定する作業グループが設立されました。JCCPはこれに積極的に参画しています。南スーダン政府からは職業訓練に対して高い評価をいただいています。
②1人でも多くの訓練修了生が就職できることを目標としています。また、職業訓練のノウハウが現地職員や連携している政府・関係機関・団体に共有され、自立発展的に担われていくことを支援していきます。
③南スーダンの地方政府・現地NGO・国際NGOなどが海外からの支援を受けて学校建設を行っています。
Q6.プロジェクトからドロップアウトした若者はいるのか、いるのであればどのような理由でやめたのか、それを防ぐ為にどのような対策をしたのか聞きたいです。
10~20%程度の若者がドロップアウトしています。多くの場合は、自身の健康問題や家族の病気、引っ越し等がその理由ですが、中には実際にやってみて訓練内容が自分には向いていないと判断したケースもあります。ドロップアウトを防ぐために、訓練生の選考段階で業種や訓練内容に関する理解を得るように努めた上で、訓練中に実技や寸劇を多く取り入れ、過去の訓練生に体験談を話してもらうなど、訓練生の興味を引き、彼らが職に対する具体的なイメージや理解をもてるようにしています。
Q7.現在情勢が不安定な中で、今後どういった支援を展開していくのか等教えて頂きたいです。
現地からの情報収集を積極的に行いつつ、関係者と協力しながら状況分析を進め、無理のない事業運営をすすめていく予定です。2014年3月末までは、東京及びナイロビからの遠隔操作という形で、南スーダン支援事業を運営してまいります。
Q8.課題と今後の展望、イグジットのタイミング(具体的に何を達成したらイグジットするのか)を知りたい。
JCCPの南スーダン事業における課題は、職業訓練・就職支援という個人を対象にした経済的自立及び社会復帰支援を中心に展開してきたために、コミュニティ・レベルの紛争予防・管理能力を育成する視点が必ずしも十分ではなかったことです。今後の展望としては、この点を重視した事業を企画し、実施してまいります。南スーダンの現状を考えると、出口戦略を練るのは至難の業ですが、基本的には現地コミュニティが事業の趣旨を理解したうえで活動を主体的に引き継いでいける見込みが立った時になるでしょう。
Q9.今後ホテル、レストランだけでなく、いま流行のフェアトレード(特に伝統民芸品を作る)やツーリズム等の「伝統復興」などで雇用や職業訓練の場を創出することについてはどう思われますか。
フェアトレードについては生産者のニーズやポテンシャルの発掘・把握、販路開拓、市場の好み・要求に合わせた製品開発、そのための生産者の訓練、フェアトレードのインパクト(生産者の生活向上)のモニタリングと、さらなる生産者の生活向上と顧客の満足のための手法改善など、さまざまな取り組みが必要で、実施に時間がかかりますが、重要であると思います。ツーリズムに関しては圧倒的に基礎インフラが不足しています。また、各部族の伝統についてはそれぞれタブーもあり、それを産業化するには地元の人々に広く理解を得るところから始めることとなり、雇用創出に利用するにはまだまだ時間がかかると思います。
Q10.このプロジェクトが現地に与える影響が気になります。また英語が話せない人についてはどうするのでしょうか。
職や収入に恵まれないために将来に展望が描けず、自暴自棄になってしまいがちな若者に生活設計や人生の開拓の機会を与えていることに意義があると考えます。また、職業訓練に対しては南スーダン政府からも高い評価をいただいています。英語が話せない人が多いものの、国の公用語は英語です。英語が苦手な訓練生は、現地の言葉を話す客の多い職場に就職しています。ただ、若者は外国語の吸収が早く、OJTを含めた訓練期間の3か月間だけで業務上必要最低限のコミュニケーションが英語でできるようになる人も少なくありません。初等教育も英語での授業ですので、今後は英語を話せる人が増えていくと思います。
Q11.若者に対する職業訓練の取り組み興味深く聞かせて頂きました。いわゆる就業年齢以下(18歳以下でしょうか)の子ども、孤児に対して将来の訓練のために行っている教育支援等はありますか。若者の話が多く、子ども(5〜17歳)に対する取組みをあまり聞けなかった事、基本的教育が不足している事の悪影響を述べていたので、ぜひ聞きたいです。
JCCPは就業年齢(18歳)未満の子ども達に対しては健康に生活するために必要な衛生に関する知識や成長過程・将来において知っておくべきHIV/エイズ・薬物についての情報を伝える保健衛生教育を実施しています。また、児童保護に関わる政府・関係団体との連携・能力強化への支援も行っています。
Q12.浦上さんのご報告から、職業倫理を守る事の心地よさを学んでもらうのが一番大切なのだと感じました。もう少し大人数をPKOで積極的にインターンとして受け入れる事で、そのような意識向上につながるのではないか。
(浦上氏からの回答) 受け入れのキャパシティの関係から、人数はその都度しっかりと調整して指導効率性など考慮して決めていければよいと思料します。事業との協力支援を継続して実施できることがまず大切であるので、緊密な協働によって職業訓練の成果へとつながるよう着意することが大切と思います。
Q13.戦闘が激化していることに伴う活動への影響、人々の意識への影響はどのようなものがありますか。
現在、残念ながら邦人職員は現地に駐在できず、現地職員を通じて職業訓練修了生の状況確認、関係者へのノウハウ共有のためのマニュアル作成などの活動を行っています。戦闘が激化した地域から逃げ出した避難民の中には、スーダン内戦時の記憶がトラウマとなって甦ってくる人もいます。今後情勢が落ち着いたとしても、恐怖心が先立ってしまい、避難先から地元へ帰還しない懸念があります。多くの人々は平和を願っています。国家建設の途上の世界で最も新しい国である南スーダンにおいて多くの若者が職を得、将来に希望がもてるように支援を継続できることを願います。
Q14.現在治安が不安定な中で日本人職員が現地に戻れなくなった場合、どのようにこの活動を継続することができるのか、関心があります。
JCCPは、あらゆる事業地で現地人材の育成をすすめてきました。日本人職員が現地に戻れない場合は、優秀な現地職員らを中心に可能な範囲で現地における業務を遂行し、日本人職員は後方支援を行います。さらに、南スーダンではない第三国で現地職員と日本人職員が落ち合い、こまかい業務調整や必要な指導を行います。
Q15.紛争地の活動におけるリスクマネジメントについて
JCCPは紛争地で活動する団体であり、いずれの活動地でもリスクマネジメントを重視しています。そのために事業の企画から実施・モニタリング評価にいたるまで、専門家によるリスク分析や指導を積極的に導入しています。