*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

<ソマリア事業>
若者に対する暴力的過激主義予防対策事業

若者のテロへの参加を防ぐ、国連との共同プロジェクト

<2019年6月更新>

事業の背景

ソマリアはアフリカ東部の「アフリカの角」と呼ばれる地域にある人口1400万人の国です。ソマリランド、プントラント、首都モガディシュがある南部の3地域からなる連邦共和制をとっており、国民のほとんどがイスラム教を信仰しています。1991年に発生した内戦の長期化、異なるクラン(伝統的な氏族)間の争い、中央政府の統治力の欠如などにより、不安定な治安状況が続いています。

特に深刻なのが、内戦が長引くなかで頻発するようになったテロの被害です。この数年は史上最悪のペースでテロの被害が拡大しており、2017年には、369件のテロにより1,470人が命を落としました。なかでも、2017年に首都モガディシュで発生した爆弾を積んだトラックによるテロは、歴史上もっとも被害が大きかったテロ事件であり、一度の攻撃で588人が亡くなるという大惨事になりました。ソマリアで発生するテロの大部分は、イスラム系武装勢力アル・シャバーブによるもので、アル・シャバーブは隣国ケニアでのテロにも関与しています。

このような治安悪化が長く続くソマリアでは、若者たちの多くは仕事もなく、経済的な問題や将来への不安を抱えています。生活や社会への不満が一向に解消しないことの責任を政府や国際社会に求める人もいます。武装勢力やテロ組織、ギャングなどは、このような若者たちの不満をあおり、「政府や外国人を倒せば幸せになれる」、「テロはイスラム教では良いことであり、天国に行ける」など、さまざまな手段を使って若者たちに誤った教えを浸透させることもあります。また、貧しさのあまり、報酬を目当てにテロ組織やギャングに参加する若者もいます。

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国連職員などの関係者と研修カリキュラム策定を行う瀬谷理事長(右から二番目)とケニア事務所の職員


事業概要

JCCPはUNIDOと連携し、ソマリアで若者がテロに参加しないように防ぐ取り組みである「暴力的過激主義予防・対策(Preventing / Countering Violent Extremism: P/CVE)」を行っています。この取り組みでは、UNIDOは若者への職業訓練や起業家支援を行います。JCCPは、まず若者がテロなどに参加する要因を分析し、その結果に基づいて、暴力的過激思想に染まるのを防ぐための研修プログラムを開発します。そして、現地の若手リーダーを研修の指導員として育成し、さらに多くの若者たちに予防研修プログラムを提供します。さらに、プログラムに参加した若者たちが主体となって地域社会においてテロ予防や復興、平和構築のために具体的な取り組みを実現できるような支援も行います。

2018年12月から2019年1月にかけてベレトウェインで行った調査では、長老、宗教指導者、若者、現地政府、治安当局、女性グループ、国内避難民など、様々な関係者が考えるテロの発生要因、テロ組織の勧誘と訓練の実態、過激化を防ぐための現地での取り組み、今後新たな支援が必要なこと、若者たちに必要なスキルなどについて、興味深い結果が明らかになりました。

例えば、女性たちが何の支援も後ろ盾もないなか、必死にテロ組織に対して行動を起こしていることが分かりました。テロ組織に勧誘されて失踪した子どもを持つ母親たちが、集団でテロ組織の施設に乗り込み、子どもたちを連れ戻したりもしています。ただ、そのなかで逆に暴力を受けたり、子どもを連れ戻せなかったりした母親もいました。このような人々に私たちができる支援を出来る限り提供し、現地の問題の解決に貢献したいと思います。


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研修プログラム開発のための調査に参加する国際・現地NGO職員


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研修プログラム開発のための調査に参加する国内避難民

現在は、分析結果に基づいて、具体的な研修プログラムを策定しています。分析結果や研修プログラムについても、今後皆さんにご報告していきたいと思います。


この事業は、UNIDOからの委託金と皆様からのご寄付により実施されています。

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