*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

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JCCPの活動.psd

ソマリア
ジェンダーに基づく暴力の啓発を通して、住民主体のセーフティネット強化を

ジェンダーに基づく暴力の啓発を通して、住民主体のセーフティネット強化を
<2013年5月掲載>

 JCCPの活動地の1つである、ソマリアのプントランドの首都ガロウェでは、南部の干ばつ及び紛争の影響から逃れて来た国内避難民(Internally Displaced Persons:IDP)が郊外でキャンプ生活を送っています。キャンプでの生活は、水不足・不衛生な環境をはじめとして、過酷である上に、ジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence:GBV)が深刻化しています。例えば、粗末なテントで暮らす避難民が多いことから夜間の女性や子どもへの性暴力事件が発生しやすく、また経済不安のストレスから家庭内暴力が増加傾向にあるなど、キャンプでの生活にはGBVのリスクがあるのです。こうした暴力の被害者の大半は女性であり、年齢も3歳から70歳までと幅広いことが報告されており、また被害の性質上必ずしもすべての事件が明るみに出るとは限らないという問題も抱えています。

 そこでJCCPは、今年2月に公式ホームページでもご報告したように、衛生・生活改善に向けた尊厳回復キット(Dignity Kit)の配布を行っています。それだけでなく現地コミュニティの長老や政府職員らを対象とした研修の実施に加え、GBV防止に向けた啓発活動を国内避難民キャンプの女性たちと共に行っています。JCCPはGBV被害者本人への心理社会支援だけでなく、共に生活する家族やコミュニティ住民全体の意識を高めることも非常に重要であると考えています。啓発は、住民ひとりひとりの意識改革を促し、GBV被害者のセーフティネットを強化する役割を果たしているのです。
 啓発活動の対象は2012年2月から数えて約10,800名にのぼります。この数字にはIDPキャンプだけでなく、周辺ホストコミュニティの住民も含まれています。GBVの被害者や加害者が、IDPキャンプ内だけではなく、実は周辺のホストコミュニティも存在しているため、JCCPは啓発の対象に両方のコミュニティを含めるよう努力しているのです。


 たとえば、日常レベルの啓発を促す活動として、今年2月には、IDPキャンプの住民で構成される水衛生委員会に、GBVに関する啓発および衛生改善のメッセージがソマリ語で書かれた清掃用具とTシャツを配布しました。水衛生委員会はIDPキャンプ内にゴミが散乱しているにもかかわらず裸足で遊ぶ子どもたちの健康を懸念して、キャンプの清掃活動を毎週ボランティアで行ってきましたが、清掃用具がなかったのです。配布された清掃用具やTシャツには、「女性の尊厳を尊重しよう」「清潔な環境は健康的な生活に重要」という2種類のメッセージが入っています。清掃活動する際にメッセージ入りの清掃用具を使用したりTシャツを着てもらったりすることで、そのメッセージを見たIDPキャンプ住民がGBVや衛生改善に関する意識を高めることを目指しています。

2013May_GBV啓発_清掃用具.png2013May_GBV啓発_WASH委員会メンバー.png


2013May_GBV啓発_小学校.png さらに地元ガロウェ市内の小学校2校で、子どもたちを対象にした啓発も行いました。これらの小学校には、国内避難民や難民の子どもたち、またホストコミュニティのなかでもとくに困難な生活を余儀なくされている子どもたちが多く通っています。これらの子どもたちに対し、GBV啓発のメッセージが入ったノートとペンを合計835セット配布しました。ノートには「女性と少女を守ろう」、ペンには「平和のために団結しよう」とソマリ語で書かれています。地道な取組みではありますが、メッセージ入りのノートやペンを実際に使用する子どもたち自身だけでなく、教育現場や各家庭での啓発効果も見込まれます。

 そしてさらに、より多くの人々への啓発を目指して取り組んでいるのが、携帯のショートメッセージサービス(SMS)を利用した啓発メッセージの一斉発信です。実は、IDPであっても携帯電話を持っている人は多く、年代を問わず多くの住民に呼びかけることができる有効な方法として、SMSは注目されています。今年2月から3月にかけて配信したメッセージは4種類あり、「家族の中でお互いを尊重することが大事である」、「自分がされて嫌なことは兄弟姉妹も嫌がる」、「他人に対する暴力をやめよう」、「女性に対する暴力をやめよう」というものです。これらのメッセージは、JCCPが今年1月に実施した啓発技術研修において、参加者たち自らが考案したものです。啓発メッセージは予想を上回る反響を受け、JCCPガロウェ職員や研修参加者らの元に、数百件を超える問合せが届きました。また、同様の啓発メッセージをさらに発信してほしいという要望が、現地のIDPやホストコミュニティの住民から寄せられています。わずか10語にも満たないソマリ語でのメッセージは簡潔なものですが、その背後にあるコンセプトや重要性に気付いた人がとても多かったようです。


 今後も、現地の生活習慣にあわせた日常レベルの啓発だけでなく、新しい技術を活用した大規模な啓発活動など、多様な手法を用いて、住民主体の啓発に取り組んで参ります。