*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。

津波被災者への
心のケア(サイコ・ソーシャル)事業


JCCPは、2004年の終わりに発生したスマトラ島沖地震による津波災害をうけたスリランカ北部から東南部の沿岸地方のうち、最も深刻な被害を受けたトリンコマレー県とアンパラ県において、村落巡回カウンセラー活動による「心のケア」支援を実施しました。「心のケア」支援とは、長期にわたる不安定なキャンプ生活によって避難民の間に生じる様々なトラウマやストレスのうち、表面的には分からないが深刻な心理状態を抱えたケースを洗い出し、専門医およびカウンセラーがすばやく対処できる体制を確立するための支援です。また、それぞれの地域やキャンプに特有の問題、各年齢層に固有な問題、家族構成や居住環境に特有の問題などを早期の段階で明らかにし、被災家族が自立した生活が営めるように専門家と非専門家との連携をつくり、住民レベルで持続した支援体制を築く取り組みでもあります。

被災者が収容されている難民キャンプや被災村では、子どもたちにとっての遊びの場や機会が失われていたほか、親たちも精神的息抜きができる環境ではなく、子どもたちに配慮する時間的・心理的なゆとりがないのが実情でした。そのため、とくに被災した子どもたちの間には、水を怖がる、不眠に悩む、悪夢を見る、無気力、乱暴な行動など、様々な心的ストレスによる症状が見られました。「心のケア」支援とはそうした症状に対して、「遊び」の場を設けることで子どもたちのストレスを緩和させ、健全な日常生活に復帰させることを目指した支援です。子どもにとって「遊び」の場というのは、社会性を身につけ創造性を培うという点で重要なものでもありますが、それ以上に、それぞれの村を担当するJCCPのカウンセリング・アニメーターは、津波被災キャンプにおいて、他の村のボランティアと連携しながら地域キャンプを巡回し、被災者たちの話を聞き、心のケアを行いました。遊びの種類は、伝言ゲーム、ゴム跳び、数字ゲーム、いす取りゲームなど、約30種あり、年齢や症状により使い分けます。カウンセリング・アニメーターたちは、子どもたちと遊ぶ以外にも、大人を含む被災者全体の話を親身に聞くカウンセリング活動を実施しており、その記録をつけ、深刻な心理的問題を抱えるケースが見受けられた場合は、関連医療機関に報告し、専門医による治療を行えるようにしました。

JCCPは、村内巡回カウンセリング・アニメーターを津波被災コミュニティ居住者から選ぶことにしました。これにより、被災者たちは同じ悩みを理解する相手に対してより心を開きやすいという効果があったほか、対象コミュニティに属する居住者がプロジェクト後も引き続き、コミュニティが抱える社会心理的問題や専門医の治療が必要とする問題を関連機関に報告する役割を果たす体制がつくられました。

また、CCPは、現地NGOとともに、アンパラ県保健省の医師たちによって開かれている県レベルの「心のケア」調整会議において、NGO調整の取りまとめ役も務めました。

アンパラ県では、県内6ヶ所の公立病院内の保健省事務室に、医師やカウンセラーを被災地に派遣するための連絡体制が整備されました。JCCPによる事業は、現地で最も初期の「心のケア」支援であるだけでなく、保健省と恒常的な連携を継続した唯一の活動であると、保健省事務局が設置されているカルムネ病院とパーラムネ病院から評価を受けました。