*「紛争の被害者を平和構築の担い手に」JCCPはアフリカ・中東の平和構築を支援する認定NPO法人です。 

南スーダン事業
ストリートチルドレンや若者への啓発教育・職業訓練

南スーダン・ジュバ市内におけるストリートチルドレンを支援する現地NGO及び現地政府の能力及びネットワーク強化事業

現地の課題

CIMG2543.jpg 南スーダンの人々の多くは、20年間におよぶ紛争の中で、国内外への避難や武力闘争への参加を余儀なくされ、小学校すら卒業していません。ジュバ市内で路上生活する子ども・若者の多くは、教育機会がなく、基本的な自己管理・衛生観念・健康管理の社会的知識が不足しているほか、暴力・犯罪・性的暴力の被害者または加害者となる高いリスクに晒されています。

 このような子どもや若者は、戦災孤児、未成年の母親、国内避難民、元子ども兵であったり、両親との死別や離別、貧困、病気、家庭内暴力等から必要な保護を欠いていたりすることが原因で路上生活者となっている場合が多く、現時点でジュバにおよそ1万人以上が存在すると推定されています。その多くは学校にも行けず、成人しても職がなく食糧も十分に得られず、ごみ収集所の近辺、木の下、墓場近くなどの衛生面でも劣悪な環境で生活しています。

 ジュバ市内でこのような子ども・若者を対象にした支援を行う現地NGO及び現地政府機関の多くは、人材や能力不足の問題を抱えており、充分な支援が実現できていません。更に、各支援分野の活動がそれぞれ単独に実施されているため、現地NGO及び現地政府間の相互連携が欠如し、包括的な支援が実施されていない状況です。

本事業の取り組み

 本事業では、上記の課題を改善するため、脆弱な状況にある子ども・若者の支援分野の中でも特に緊急を要する心理ケア、啓発・教育及び職業訓練において、これら支援を実施する現地NGO及び現地政府の能力強化を行います。また、これらの現地NGO及び現地政府間で連携を取りながら包括的な支援を行えるようネットワーク構築・能力向上を支援します。

活動

ストリートチルドレン調査・情報収集

 2012年にデンマークの国際NGOがジュバの100名以上のストリートチルドレンを対象に聞き取り調査を行ったところ、半数以上が「自宅があって保護者もいるけれど路上で暮らしている」と回答しました。JCCPは、こうした子どもたちの家庭背景に迫るため、2012年8月に、中央エクアトリア州ジェンダー社会開発省の職員、現地NGOであるStreet Children Aidの職員と共同で「ストリートチルドレンの家庭調査」を実施し、ストリートチルドレンの保護者33名への聞き取りを行いました。

 「なぜ、あなたの子どもは路上で生活しているのですか?」…それこそが、NGO職員やソーシャルワーカーとして日々ストリートチルドレンと接している調査員らがもっとも知りたいことです。しかし、子どもの衣食住や教育にお金をかけたくてもできず、保護者としての悲しみや無力感に打ちのめされている人々に対して、そのようなデリケートな質問ができるはずはありません。調査員らは言葉を選びながら話をつづけ、ひとつの家庭へのインタビューは1時間から3時間に及びました。その結果、①収入と支出の圧倒的不均衡、②シングルマザー、③親の養育放棄、④非就学、⑤家庭内暴力とアルコール中毒、⑥都会への郷愁、⑦伝統的な家族構成、という状況が、ストリートチルドレンが生まれる要因として判明しました。

 この共同事業は社会開発省からも高く評価され、これを契機に、社会開発省、Street Children Aidから各1名ずつがJCCPに「出向」して、JCCPのスタッフと共に啓発活動を行ったり、元ストリートチルドレンのケアにあたったりしています。JCCPは協働を通じて彼らの能力向上を支援しています。

職業訓練・就職斡旋

CIMG2433.jpg 若者に対してサービス業分野(給仕、調理補佐)の職業訓練・就職斡旋を行っています。2か月間の座学及び実技研修の後、ジュバ市内のホテルやレストランにて1か月間にわたる実地訓練(OJT)を実施します。この訓練では知識・技術の習得のみならず、実際に就業している訓練修了生による講話や、現場での良い例・悪い例を取り上げた寸劇を含めて、就業倫理の理解・定着にも重点を置いています。具体的には、座学の授業では、衛生に関する知識及び食品や飲料の取り扱い、接客の際の心得、上司や同僚とのコミュニケーションの取り方など、実際のホテル・レストランで勤務する際に必要な知識や対応の方法にかかる講義を実施しています。実技では、訓練講師の指導の下、テーブルセッティングや給仕に加えて調理実習を行い、魚の揚げ方、野菜の切り方、肉の炒め方など、10種類以上の厳選したレシピについてトレーニングを行っています。

訓練修了式(JICA担当者によるご挨拶).jpg また、パートナー現地NGO団体であるWomen Self-help Development Organization (WSHDO)などに所属している職業訓練講師補佐が訓練の全課程に参加し、訓練の運営方法について学びました。講師補佐に対しては、講義及び実習を見学しながら、訓練講師と協議した上で講義の一部を担当したり、訓練を実施する際に必要と考えられる重要なポイントにつき記録を付け復習する訓練を行ったりしています。

 職業訓練参加者のうち、路上生活者であった若者に対しては、自立を支援するためにシェルターを提供しました。JCCP職員が周辺住民に対し本事業の趣旨と活動内容を十分説明し、理解を求め、周辺コミュニティに対し、家庭的なふれあいの中でコミュニケーションを取り、日常生活における家庭指導の支援も依頼しました。このようにして、当該裨益者らが路上生活から抜け出し、シェルター生活においてコミュニティから孤立することなく、同時に家庭的な雰囲気の中で社会生活の規範を身に付けるように配慮しています。

 訓練を修了した若者には、就職先を見つけるためのフォローも行っています。また、就職後も定期的に訓練修了生と連絡を取り、職場でのトラブルや悩み事の相談についてアドバイスをすることで、訓練修了生たちが仕事を続けられるようサポートしています。

関連団体のネットワーク構築・能力向上支援

元ストリートチルドレンを含む職業訓練修了生の職場にて.jpg

 ユニセフや他国際NGOと連携しながら、児童保護を行っている現地政府・NGOの課題を明確化し、各団体の活動内容を共有し、団体の能力向上を図りながら将来的な団体間の連携の計画を立案・実施することを支援するための研修等の活動を行っています。 

助成元:JICA