JCCPのアフリカ東部での活動
アフリカには、紛争の長期化、反政府勢力の台頭、主権政府の正当性・公平性の限界などにより、国家が本来国民に提供すべき政治・治安・経済的役割を果たせずにおり、その結果「破綻国家」または「脆弱国家」と呼ばれる国々が存在しています。一方、特定の民族や集団が紛争や暴力の被害に遭ったり、人道危機による膨大支援が必要とされているにも関わらず、強硬な政府により国連や国際社会の介入が十分に行えない国々もあります。
このような複雑な状況をあわせ持つアフリカ地域では、紛争と社会の状況にあわせた支援を行うと同時に、最終的にはアフリカの人々が自らの手で治安を確保し平和を築き、その安定した状態を維持する力を備えることが地域の紛争の再発予防に不可欠となります。このような地域の特徴にあわせた支援を実施するため、JCCPのアフリカにおける紛争予防・平和構築支援は、次の重点分野に沿って実施されています。
- アフリカ東部8カ国…ケニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、ソマリア、スーダン
PKOセンター訓練・研修
PKO訓練センターでの平和構築実務家の育成
設立以来、JCCPは国内を中心に紛争予防のための人材育成に取り組んできましたが、2007年より、さらにアフリカにおいて平和維持(PKO)、紛争予防支援に携わる実務家に対する専門研修を開始しました。JCCPは、アフリカ地域のPKOセンターや国連機関、現地政府と連携し、PKOや平和構築支援に従事する軍人、警察官、文民職員、現地政府職員など、さまざまな立場と役割を持つ参加者を対象にした人材育成を実施しています。世界でもPKO訓練センターにおける研修を担う団体が数少ないなか、JCCPは日本で唯一同分野における実績を有している団体となっています。
近年アフリカ連合(AU)を中心に、ダルフールや現在のソマリアのように、国連が当初から介入することが困難な武力紛争・人道危機に対し、アフリカ独自の平和維持軍を派遣するためのアフリカ待機軍(ASF)創設の準備が進められています。また軍隊のみでは実施が不可能な平和維持・平和構築活動に対し、現場で活動する警察、文民職員の育成もあわせて行われ始めています。アフリカにおける平和維持・平和構築分野における人材育成の必要性に対しては、2007年、2008年の首脳国会議(G8サミット)でも提言が行われています。
JCCPは、まず2007年5月に、カナダのPKO訓練施設であるピアソン・ピースキーピング・センター(PPC)からの委託を受け、ガーナのコフィアナン国際平和維持訓練センター(KAIPTC)において、平和支援活動の一環で行われるDDR(兵士の武装解除、動員解除、社会再統合)研修のカリキュラム立案、教材作成、講師養成、研修の実施を行いました。それまでのように欧米諸国により作成された研修内容ではなく、アフリカの紛争と平和支援活動により即した研修として作り直すことが目的でした。
また、JCCPは、アフリカ各地のPKO訓練センターにおける研修を行う一方、国連からの要請に基づき、ケニアをはじめとする東部アフリカのPKO訓練センターにおける訓練計画・能力強化策の立案も行っています。ダルフールやソマリアなど、国連やアフリカ連合、国際社会が安定化のための方法を模索している紛争危機に対して、JCCPが実施する人材育成支援は、日本が世界の平和協力分野で先進的かつ具体的な役割を担うためのひとつの形を提示する支援でもあります。これに伴い、2008年からは、日本の支援により、アフリカ地域の5つのPKO訓練センターにおいて新たな平和維持・平和構築研修が実施されることになっています。
NGOの能力強化
NGOの能力強化/ネットワーク整備
ひとたび紛争が発生した社会に対しては、紛争の直後は国連や地域機構、ドナー国やNGOをはじめとする国際社会の支援が向けられます。しかし、PKOや人道支援により危機的状況をひとたび乗り越えて状況が落ち着き始めると、その後は外部の関与は徐々に減少し、最終的にはその社会を構成する人々自身が自らの力で復興と安定化の担い手となることが求められます。
JCCPは、平和維持・平和構築支援に対する外部の実務家や国際社会の支援が小さくなる段階に合わせ、その後は現地の市民社会やNGOが紛争の再発予防・平和の定着を引き続き担うことが可能となることが必要であると考え、2008年7月よりUNESCO(国連教育科学文化機関)とともに、東部アフリカにおいて「紛争予防・平和構築分野で活動するNGOの能力強化・ネットワーク整備支援事業」を行うことにしました。2008年に、この支援は、日本の支援によって行われるもので、UNESCOとJCCPの間で2008年6月に共同事業実施のためのパートナーシップ契約が結ばれました。
このNGOの能力強化事業は、2年間の予定で実施されるもので、対象地域は東部中心のアフリカ9カ国(ケニア、ウガンダ、スーダン、ソマリア、エリトリア、コンゴ民主共和国、ブルンジ、ルワンダ、中央アフリカ)です。9カ国で紛争予防・平和構築分野で活動するNGOの職員に対し、実務家・指導員研修を行うほか、マネジメントやそれぞれの活動分野における能力強化に必要なノウハウを研修します。それぞれのNGOは、自分たちの国に帰ったのち、裨益者や他のNGOに対し、学んだ研修内容について伝えるワークショップを実施するほか、自分たちの行う活動の効率化に役立てることになります。また、NGOの能力や経験も国によって異なるため、ケニアのようにNGOの実績が高い国が、他の経験の浅い国のNGOに対して恒常的に助言や協力を行うための紛争予防NGOネットワークを地域で整備することが計画されています。
一方、草の根レベルの能力を育成しても、政局や一部の権力者の思惑によって簡単に市民社会の動きが淘汰されてしまうという問題がアフリカでは多く生じてきたという問題があります。そのため、この事業では、政策レベルと草の根レベルの両方がバランスよく機能し連携するため、NGO間のネットワークに加え、政府や政策立案レベル、国際機関や外国の支援機関とも現地のNGOがつながりを確立するための支援も行っていきます。
その他
その他の活動

- 紛争が原因となって発生する人道危機や集団暴力に対する緊急支援
- 紛争により治安・経済基盤が弱体化している社会における治安改善・復興支援
アフリカの紛争について
アフリカ諸国の多くは、植民地支配を経てようやく宗主国からの独立を果たした1960~70年代以降も、東西冷戦期は米ソ対立による代理戦争の舞台となりました。そして冷戦後、外国からの支配が一気に弱まったのと同時に、権力や資源獲得を巡る争いが多くの国で勃発し、内戦による多くの被害が発生しました。とくに冷戦以降、アフリカ西部、中部、東部、南部において相次いで頻発した国内紛争により、それに伴う犠牲者、難民、国内避難民の数も増加しました。
1990年代のモザンビークや2001年以降のシエラレオネ等、国連をはじめとする国際社会による介入・支援により紛争後の復興が進んでいる事例がある一方、ダルフールやソマリアなど、人道危機や武力紛争に対して国際社会が有効な手を打てずにいるケースもあります。
国際社会の支援が困難になる際の理由として、1)当該国の政府が内戦に深く関与している場合、内政干渉を理由に外国の介入を拒否することがあるほか、2)紛争が泥沼化している国の場合、国連PKO(平和維持活動)に自国の兵士を派遣することを避ける国々が増えるほか、国連も治安が確保されていない地域に職員を派遣することに慎重になる、などが挙げられます。
2002年以降、アフリカ地域における大規模な紛争の発生数に減少が見られる一方、当該国政府が紛争だと認めない人道危機、テロの拡散、集団暴力など、国際社会がいまだ十分な対応策を取ることができない危機が多発したため、それに伴い誰にも把握されない被害者の数も増えており、状況はより複雑化しているのが現状です。

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