TOPIC | 認定NPO法人 日本紛争予防センター(JCCP)

  
  

「2011年度 NGO長期スタディプログラム」の報告会が5月19日に開催され、同プログラムに参加したJCCPの齋藤隆祐が研修の報告を行いました。

2011年度 NGO長期スタディプログラム 研修概要

研修参加者:JCCP 齋藤隆祐

saito4.jpg2010年10月から2011年1月にわたり、バングラデシュ、スーダン、ケニアの各受入機関で講義を受け、マイクロファイナンス(小規模融資)やソーシャルビジネス(社会問題の解決を目的とした収益事業)の現場を視察しました。

◇ 研修テーマ
「紛争地域におけるNGOとビジネスセクターとの連携および事業評価スキームの確立」

◇ 研修の目的
1)JCCPの活動の柱の一つである裨益者による経済活動への支援について、そのあり方を模索する
2)スーダンで実施しているスラムの若者への職業訓練について、訓練後の就業率向上の施策に寄与する
3)ケニアで支援中のスラムの住民によるスモールビジネスの評価手法を講じる

◇ 受入先機関と研修内容
① BRAC大学(バングラデシュ)
マイクロファイナンスの専門家養成コースを受講し、バングラデシュにおけるマイクロファイナンスの取り組みや、ソーシャルビジネスのビジネスモデルについて学びました。
フィールド訪問では、BRACグループが展開する事業として、首都ダッカの貧困街に特化してマイクロファイナンスサービスを提供しているプロジェクトや、マイクロファイナンスの顧客にもなり得ない最貧困層を対象にしたプロジェクトの事業地を視察しました。

② BRAC Southern Sudan(南部スーダンにあるBRACグループ傘下企業)
BRAC Southern Sudanのマイクロファイナンス担当者から、審査基準や経営・モニタリング指標について講義を受けるとともに、支店と顧客を訪問し支店レベルの業務内容や課題について理解を得ました。
ここでは、アフリカの紛争地でのマイクロファイナンスの効果的な実施方法や課題について多くの洞察を得ることができました。

③ K-REP Development Agency(ケニアにあるK-REPグループ傘下企業)
マネージャー及び社内研修担当者より、ケニアにおけるマイクロファイナンスの実績やケニアのビジネス環境、特に酪農関連ビジネス等の貧困層の経済活動について講義を受けました。
フィールド訪問では、K-REP Development Agencyから派生したプロジェクトのうち、酪農家に対して家畜などの資産を貸し付ける事業、都市部貧困層の青年・女性・HIV/AIDS感染者に特化したマイクロファイナンス事業等の各事業地を視察しました。
K-REPグループの視察では、持続可能な経済支援活動に対するアプローチをJCCPの事業と対比するなかで、多くの示唆を得ることができました。

◇ 研修の成果
① ビジネス的アプローチの限界
バングラデシュでBRACグループが実施しているUltra Poor Programでは、“資産や身寄りの一切無い最貧困層はマイクロファイナンスの顧客にはなり得ない”という前提で、住まいと収入創出のための資産を無償で提供して、最低限マイクロファイナンスの顧客になることができるレベルまで支援しています。JCCPが事業を展開している紛争後地域も、社会基盤や経済基盤が極めて脆弱であるために社会から弾き出された人が多いことから、能力開発の重要性を再認識するとともに、ビジネス的アプローチだけでなく、条件に応じた柔軟な支援アプローチを検討することが重要であると感じました。

② 多様な財源の活用
今回の研修では、ビジネス的アプローチを採用する際の多様な財源の活用について理解を深めました。例えばケニアのK-REPグループでは、社会的企業に投資しているアメリカのファンドから資金調達をして、家畜等の資産を農民に供与しています。また、現地で古くから行われているテーブルバンキング(グループ内で出資を募り、お金を必要としているメンバーに貸与する制度)をより組織化して、外部からの融資を必要としないビジネスモデルを構築したプロジェクトもあります。多様な財源の実際の活用方法や、地域固有の慣習を活かして外部資金なしに運営する事例に触れることができたことは大きな成果です。

◇ 総括とJCCPの事業への活用
国際NGOが事業を終了し撤退した後には、特に資金不足により現地NGOのみで事業を継続することが困難になる例が多く見られます。このような場合、プロジェクト自体をビジネスモデルとして構築したり、撤退する国際NGOから業務を引き継ぎ、事業を継続的にモニタリングするという戦略も考えられることが解りました。更に、ビジネス活動によって資金調達手段を有する企業へ事業形態を移行していくという戦略の可能性についても、本研修では多くの示唆を得ました。
研修の成果は、JCCPのプロジェクト立案時の現地パートナー団体の選定、資金調達方法や出口戦略の策定に生かしていきます。
saito3.jpgsaito5.jpg

・報告書はこちら(外務省)
・研修事例はこちら(JANIC)


*NGO長期スタディプログラムとは:国際協力に従事する日本のNGOの人材育成を目的として、日本 のNGOの中堅職員を海外のNGO、国際機関、海外で研修プログラムを提供する研修機関等に派遣する実務研修プログラムです。詳しくはJANICホームページへ

海外事業

ケニア

ソマリア

南スーダン

アフリカ東部8カ国

バルカン地域

カンボジア(過去の事業)

スリランカ(過去の事業)

アフガニスタン(過去の事業)

ms3.gif